特売りとは市場において、もっとも恐るべきドカン下げの事象。
ある時、株価は顔面蒼白をもって、がんじがらめとなります。
別名、特別売り気配。
丸腰でこれにハマり込みますと、逃げるに逃げられず、指をくわえてモニターを眺めるのみ。
なぜ、このような事象が発生するのでしょうか。
そして、この特売りで儲ける手法は有効であるのか、否か。
相場参加者として、いささか興味あるテーマであります。
なお、以下は当方の素人目線、思いつきによる単なる感想文。
けっして参考にはなさらず、読み飛ばして頂きたい所存でございます。
特売り手法の概要
特別売り気配とは、売り注文が殺到した時に起こる事象。
取引が成立しないまま、徐々に気配値を切り下げて行きます。
当然ながら、買いで入っていたら、何もできずに傍観するのみ。
場合によってはとんでもない目に合います。
ストップ高気配、すなわち当日の上限価格近辺で買いを入れ、そのまま特売りとなり、ストップ安張り付けの価格まで持って行かれる。
そんな最悪の事態も無きにしもあらずなのであります。
そして、特売り気配がいったん終了した直後、リバウンドが来る。
この甘い考え。
確かに、特売りに特攻するのは自由であります。
しかし、チャンスは常に危険と背中合わせ。
この手法、具合はいかがなものでしょうか。
手法のハッケ性
当たるも八卦、当たらぬも八卦。
ハッケとは、占いのことであります。
すなわち、当たるか当たらぬかが占い状態であること。
これを八卦性と呼びます。
(当方の勝手な株用語。)
実は特売り特攻手法においては、きわめて強い八卦性が確認されております。
あるときは目を見張る、もの凄いリバウンド。
そうかと思えば、そのまま奈落の底。
であるからして、どのような特売りに飛び込めば、着実に利益を手にすることができるか、と言うお話になってきます。
振り返れば、多くの短期筋、デイトレーダーにこの手法のヒントを周知することとなったのが、2005年12月8日。
いわゆるジェイコム株大量誤発注事件であります。
手法バレの起点
当時、新規上場したこの株が初値をつけた直後において、突如としてわき起こった特別売り気配。
とある証券会社からの誤発注は、大量の売り注文でした。
当然ながらこの銘柄は、もんどりうって取引成らず。
特別売り気配であります。
そのまま気配を切り下げ続け、ストップ安値に到達し、張り付き状態となったのです。
この時、某匿名掲示板では、様々な憶測がささやかれていました。
- 売り注文が発行済株式数を超えているのではないか
- 誤発注ではないか
などの書き込みもありました。
後日、この騒動の渦中において、一部のトレーダーが巨額の利益をあげていたことが報じられます。
ストップ安で買い、その後の高値、すなわちストップ高値で売り抜けた者。
あるいは、その日、売らずに持ち越し、数十億の利益をあげた、かのデイトレーダー。
それがBNFであります。
デイトレーダーの攻勢
この事件は、多くの相場参加者に衝撃を与えました。
それとともに、このストップ安値において、大量の買いを入れていた者が実際に存在したこと。
大量保有報告書によってそれが確認されたことで、とあるまことしやかな説が囁かれたのです。
すなわち、ストップ安で買えばいいんじゃね?と。
当日中においては、それ以上下がらないんだから、そこで買ってリバを取ればいいのさ、と。
ストップ安買いのリバ売り手法。
これを契機に、まだあまり気づかれていなかったであろう、この短期売買の手法が、白日のもとに…。
そう言えなくもありません。
実際の話、特売りで買いを入れ、寄り付いたらものの数秒。
またたく間に買い値から10%リバウンドするなどと言うことも、当時、時折り見られていた現象であります。
多くのトレーダーが目を皿のようにして、このS安張り付き現象を探し始めるようになったであろうことは、想像に難くありません。
しかし、悲しいかな、手法とは知れたら仕舞い。
手法の終焉
世に知れ渡った手法の終焉は、遠からずやってくる。
2010年を過ぎたあたりからでしょうか。
このS安買い手法は、何かきな臭い、危険な香りを呈する手法に成り下がっていたのであります。
すなわち、リバウンドしない。
再度の張り付き状態にすぐ戻ってしまう。
当方も何度かそれで大ヤラレをしています。
なぜ、そうなったのか。
当方なりの解答は、以下となります。
難易度が上がった要因
従来、特別売り気配は、手動かつ目視で、市場の隅々を探さねばなりませんでした。
まず、数多くの銘柄をツールに登録します。
少なくとも数百。
そして、特売りを指し示す表示、すなわち太字・色文字の「特」が示された銘柄を探すこと。
このS安狙いは、目を皿のようにして、常に特別売り気配を探す者がようやく見つけることができるものでした。
しかも、当時、登録した銘柄以外で特売りが発生した場合には、いち早く発見することは難しかったのであります。
つまり、手間と運。
ところが、現在はいかがでしょう。
証券会社にもよりますが、ツールのランキング表示などによって、一目瞭然。
特別売り気配もストップ安をつけた銘柄も、瞬時に探せるようになったのです。
それだけではありません。
今や、あらかじめ設定することにより、自動で反対売買の注文が出せます。
全て手動でモタモタやってた時代は、とうの昔に過ぎ去りました。
苦労なくあっと言う間に該当銘柄を探せて、あらゆる操作がワンボタン。
全てのチャンスは皆に監視され、取り合いとなりました。
これにて特売りに取っ捕まり、ナンピン買いにて海底深くに沈む。
もしくはS安張り付けの刑に処せられる。
当方のように、特売り特攻でエライ目に合う者が増えたと、そう言えないこともない状況。
それが今であります。
特売りのとびら
天国か地獄か、それは扉を開いて初めて判明します。
そして、扉を開いて「やーめた」は遅い。
後戻りはできないシステム、それが特売り手法であります。
すなわち、特売りの扉は、一か八かの気概をもって初めて開かれる。
当方、本日も場中、特売り銘柄を発見しました。
買うのか、買わんのか。
相場の海をさまよいつつ。
そして、上記のような相場の歴史をかんがみ、さすがに手を控えざるを得ない当方。
本日のトレード結果は、デイ勝ち、スイング勝ち。
持ち越し株は主力の東証1部もありましたが、なぜだか上がらない。
すぐ投げたものの、利益は微妙。
ガッツリ利益が取れれば、デイは控えようと思っていました。
しかしこれではそうもいきません。
やむなくデイへ。
前場は、本日も値がさのハイテクに来ていました。
九州に半導体の工場ができると言うお話、これも関係あるのでしょうか。
これらがグイグイ来まして、運良く、読みが当たり。
まことに相場は運であります。
異常に円安が進んでますので、自動車の素っ高値、IPO系など、若干買い持ち。
良い週末をおむかえください。