二番底はいつしかやって来ます。
その日に備え、銘柄研究をせざるを得ないこの状況。
景気悪化の底から回復する企業には、それなりの理由が存在します。
ファンダメンタルで銘柄を選別し、大底でガッチリホールドするためには、キャッシュフローを理解する必要があります。
キャッシュフローはひと癖ある指標
キャッシュフローとは、Cash Flowと書く英語。
直訳すれば「現金の流れ」となります。
会計用語でもあり、現金の流出入を判断するため、四季報にも必ず記載されている情報です。
売上、利益などの語と混同しがちであるため、ひと癖ある判断材料と言えます。
ですから、図表化してイメージしやすくするのが賢い方法です。
キャッシュフローをイメージでとらえる表
現金流出入のイメージ | |
営業CF | 本業関連 |
投資CF | 資産(設備・株・不動産など)関連 |
財務CF | 資金繰り(借入・返済など)関連 |
ここで、CFとはCash Flowの頭文字。
人生はファイナンスの連続
営業CF、投資CF、財務CFのうち、財務と言う言葉が今一つピンと来ないと言う方、少なくはないでしょう。
財務とは英語でファイナンス(Finance)であり、「ファイナンスをした」などと言う人もいます。
この場合には、お金を借りるなどの資金繰りをしたのだな、とイメージすることができます。
キャッシュフローのプラス・マイナス
プラスの場合 | マイナスの場合 | |
営業CF | キャッシュ増 | キャッシュ減 |
投資CF | ||
財務CF |
キャッシュフローにはプラスとマイナスがあります。
プラスの場合は現金の増加を、マイナスの場合には減少を意味します。
この増加・減少は1年間の分です。
キャッシュフローの具体的なイメージ
営業キャッシュフロー
営業CF | プラスの場合 | 本業でキャッシュ増 |
マイナスの場合 | 本業でキャッシュ減 |
投資キャッシュフロー
投資CF | プラスの場合 | 設備・株・不動産を売ってキャッシュ増 |
マイナスの場合 | 設備・株・不動産を買ってキャッシュ減 |
財務キャッシュフロー
財務CF | プラスの場合 | 資金借入でキャッシュ増 |
マイナスの場合 | 資金返済でキャッシュ減 |
キャッシュフローが+であれば良いとは限らない
現金と言う物は、本業で増えればそれに越したことはありません。
ですから、営業CFはプラスが王道。
しかし、
- 資産を売り払って現金が増える場合
(投資CFがプラス) - 借入により現金が増える場合
(財務CFがプラス)
には注意が必要です。
何でもかんでも現金が増えれば良い訳ではありません。
- 営業CF
- 投資CF
- 財務CF
のそれぞれがプラスである場合、マイナスである場合の各パターンを列挙し、その意味を考えることがファンダメンタル理解の第一歩です。
営業キャッシュフローがプラスの場合の意味4パターン
意味(例) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
1資金集めをしている | + | + | + |
2財務改善をしている | + | + | - |
3借入→投資 | + | - | + |
4健全である | + | - | - |
1.資金集めをしている
- 営業CFがプラス:本業で現金増
- 投資CFがプラス:資産を売って現金増
- 財務CFプラス:資金借入で現金増
の場合、本業で現金増にも関わらず、資産を売り、借り入れを行って資金を集めていると想定できます。
2.財務改善をしている
- 営業CFがプラス:本業で現金増
- 投資CFがプラス:資産を売って現金増
- 財務CFマイナス:資金返済で現金減
の場合、本業で現金増の上、資産を売り、資金返済に回していると想定できます。
3.借入→投資
- 営業CFがプラス:本業で現金増
- 投資CFがマイナス:資産を買って現金減
- 財務CFプラス:資金借入で現金増
の場合、本業で現金増の上、借り入れを行い、投資の方にお金を回していると想定できます。
4.健全である
- 営業CFがプラス:本業で現金増
- 投資CFがマイナス:資産を買って現金減
- 財務CFマイナス:資金返済で現金減
の場合、本業で現金増の上、投資を行い、返済も行う健全な状態であると想定できます。
営業キャッシュフローがマイナスの場合の意味4パターン
意味(例) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
5資産売却&借入でジリ貧 | - | + | + |
6資産売却→返済でジリ貧 | - | + | - |
7借入→投資で背水の陣 | - | - | + |
8本業回復で健全化可能 | - | - | - |
5.資産売却&借入でジリ貧
- 営業CFがマイナス:本業で現金減
- 投資CFがプラス:資産を売って現金増
- 財務CFプラス:資金借入で現金増
の場合、本業で現金が減少した上、資産を売り、借り入れを行い、厳しい状況に直面していると想定することができます。
6.資産売却→返済でジリ貧
- 営業CFがマイナス:本業で現金減
- 投資CFがプラス:資産を売って現金増
- 財務CFマイナス:資金返済で現金減
の場合、本業で現金が減少した上、資産を売ったお金を資金返済に回している、苦しい状況を想定することができます。
7.借入→投資で背水の陣
- 営業CFがマイナス:本業で現金減
- 投資CFがマイナス:資産を買って現金減
- 財務CFプラス:資金借入で現金増
の場合、本業で現金が減少したところで、借り入れのお金を投資に回し、しのいでいる状況を想定できます。
8.本業回復で健全化可能
- 営業CFがマイナス:本業で現金減
- 投資CFがマイナス:資産を買って現金減
- 財務CFマイナス:資金返済で現金減
の場合、本業で現金が減少したところで、投資を行い返済も行っており、本業が回復すれば健全化も可能な状態を想定できます。
以上、各パターンの意味を考え、財務情報を調べつつ、株の銘柄選定においてさらに一歩を踏み出したいところです。