テクニカル分析が役に立たないと思う理由は、相場の“箱”、ケースの表面ばかりに目が行きがちであることです。
“箱” とは、相場の“函数”のことであり、株の初心者が見落としがちな最も大事なカーソルが入口になっています。
まず入口をしっかり認識したいところです。
テクニカル分析が役に立たない?
株を始めた当初私は右も左もわからず、物は試しと言うことで株の本を買って読んでみました。
いろいろな用語も知らず、証券会社の口座も開設したばかりで、知識はほとんどゼロ。
本を数冊読んだところで、株取引の概要は若干わかるようになりましたが、「必勝法」が本に書いてある訳ではないので、何をどうやれば良いか、皆目見当がつかないままでした。
その状態が1~2年くらいは続いたと思います。
その間に株の口座を開き、日々、ツール上でチャートを見るようになり、様々なテクニカル指標をチャートに表示していました。
特に思い出深いのはMACDです。
分足、日足のチャートにMACDを表示し、意味もわからず買い。
そして、MACDが底を打ちそうなところでナンピン買いをし、リバウンドしたところで利確。
何度か利益は出たのか、それとも最初から上手くいかなかったのか、今では覚えていません。
覚えているのは、その後にこの方法で見事に大損をし、とんでもない目に合ったと言うことです。
いきなりナンピン失敗の洗礼を受けました。
株チャートは意味がない、本は役に立たない?
今でもナンピンはたまにやりますが、MACDは表示していませんし、その他のテクニカル指標も見ません。
移動平均だけは一応表示していますが、仕様上勝手に表示されているだけで、これもほとんど当てにしていません。
なぜ当てにしていないかと言うと、何度もそれに頼って損をしているからです。
試したテクニカル指標は全部で5~6種類くらい?
詳しく調べたのはそのくらいですが、それ以外にも調べられ得る限りのテクニカル指標を試してみました。
ですが、どれも上手くいったりいかなかったり。
結果は微妙。
今では株の本も読まなければ、日足チャートですら、あまり熱心には見ません。
(一応、注目している銘柄については毎日、目を通していますが…。)
今後もこの姿勢、変わる予定がありません。
利益を出すための3つの必須知識とは?
結論から先に書きましょう。
あくまで私流の考えに過ぎませんが…。
結論は、損益=f(x,y,z)であると考えています。
f(x)という表記は通常、高校数学でも出てきますが、関数を意味します。
関数とは昭和初期までは函数と書かれたこともありました。
“函” とは箱の意味であり、fと言う名の計算機の“箱” に(Xの代わりに具体的な)数字をぶち込むと、計算されてその結果が出てきます。
その計算結果がf(x)であると言う意味です。
カッコの中の数字は、変数を意味します。
f(x,y,z)とは、fと言う名の計算機に3つの具体的数字をぶち込み、自動的に計算された結果を意味します。
例えば、
F(1,2,3)=256
と書いてあったら、Fという計算機のx,y,zと言うカーソルに1,2,3をぶち込んだら、計算結果は256になりました、と言う意味です。
多変数関数って何?
f(x,y,z)のように、変数がx,y,zの3つある場合には、3変数関数と呼ばれます。
高校までの数学では、通常、1変数関数までしか扱ってはいけないことになっています。
文字の数はいくつ含んでいても構わないのですが、“変数” は一つだけに限定しなさいと。
例えば、
(a+b)XY+abY+cZ
のような式は中学・高校でも出てきますが、あくまでも文字式としての扱いであって、XとYを変数として扱うことは、やるなと…。
XとYを変数として扱うと、2変数関数ということになってしまい、高校数学の範囲から逸脱します。
(文字式内の文字の数と変数を混同している人がいますが…。)
このため、高校でf(x)は見たことがあるけれど、f(x,y)は見たことがないと言う人が多いと思います。
f(x,y)やf(x,y,z)は、大学1~2年で習う範囲の数学だからです。
だから株のx,y,zって何よ?
高校で多変数関数を扱う例外は、物理で出て来る“波の式” です。
f(x,t)などと言う表記が出てくることがあります。
xは位置、tは時刻を意味する2変数関数ですが、高校数学では扱ってはいけない範囲ですので、小さくしか出て来ません。
それで、私流の株の損益計算機である、f(x,y,z)ですが、xは株価、yは出来高、zは時刻。
何だよ、当たり前じゃないか、と言われそうですが…。
数え切れないほどたくさんのテクニカル分析がありますが、その出発点になるのはこの3変数です。
そう考えて以来、私はテクニカル分析を一切見なくなりました。
時系列の株価と出来高、経過時間だけを見ていればそれで済むと。
そして、その3つを見ても何も浮かばないのであれば、テクニカル指標に頼って何かが見えたとしても、それは幻である…と。
大損を防ぐための株の“函”
世の中の全ての事象は、それこそf(x1,x2,x3,…xn)と言う複雑怪奇なn変数関数です。
n → ∞ の極限値を求めて、世の中の問題を一挙に解決できれば、どんなにラクなことか。
株の短期売買でこの3変数、株価と出来高と時刻だけしか見ないのは、ファンダメンタルズその他の情報は短期売買には直接関係ないと思っているためです。
とは言え、大学レベル以上の数学を駆使してトレードしている訳でもありません。
そんな必要はないと気づきました。
3つの変数をぶち込む魔法の“函”さえ持っていれば…。
自分独自の“函” を持つこと。
それが株の短期売買に必要なことだと考えています。
その“函” の具体的内容については、またの機会にご紹介させて頂きたいと思います。