平均回帰性の例
例えば、身長が230cmだった人がいたとしましょう。
世界にはそのような人が存在します。
では、その人の子の身長は、将来どのくらいになるでしょうか。
親が230cmの身長なのだから、子供も同じ身長となるのでしょうか。
残念ながらそうなる可能性はかなり低い。
身長230cmの人の子供は、230cm未満の身長となることがほぼ確実。
これが平均に回帰すると言うこと。
平均回帰性とは、群を抜いて身長が高い人がいたとしたら、その子供の身長はより平均に近い方へ回帰するでしょう、と言うこと。
高身長が遺伝しているのだから、次は身長250cmの子供が生まれる?
そんなことは確率的に考えられない、と言うことです。
なぜそう言えるのでしょうか?
平均に回帰する理由
まず、身長230cmの人とは、何らかの偶然が働いてそうなっている可能性が高い。
偶然、すなわち、たまたまそうなった、と言うこと。
その証拠に、突出した高身長の人の先祖を調べても、身長はそこまで高くないことがわかっています。
世の中にはそんなことが非常に多い。
100メートルを9秒7で走る人。
とんでもなく良いアイデアを思いついて成功する人。
すべては偶然が働いた結果、そうなっているのであります。
9秒7で走る人は、偶然足が速い人間として生まれた可能性が高い。
とんでもなく良いアイデアを思いつくのも、偶然が大きく寄与しています。
偶然が寄与している場合には、次回はありていのパターンへと、より近づいた結果となるのです。
世の確率分布はそのようにできていると言うことであります。
平均回帰を知らないとどうなるか
オレは100mを9秒7で走った、だからオレの子も同じことができるだろう。
もしそう考える人がいるとしたなら、平均回帰性を知らない、いささか残念な人です。
ただし、その子も足の速い遺伝子を受け継いでいることは間違いありません。
そこそこ足の速い子として生まれてくる可能性は高い。
しかし、9秒7はおそらく無理でしょうと言う結論。
なぜなら、平均回帰性によって、より平均値に近い方に押し戻されてしまうからです。
平均回帰を知らない天才的な親元には生まれたくありません。
親は子に期待し、子は自分の限界に絶望する。
苦痛の多い親子関係。
これは人生における大損と言えます。
悪いことも平均回帰する
とんでもなく運が悪くて、試験で0点を取ってしまった子がいたとしましょう。
確率的に言えば、この子は次回、0点を取る可能性は低い。
クラスの平均が50点だとすると、次回はそっちに引き戻される。
少なくとも5点か10点か。
場合によっては50点近くまで戻すかも知れません。
なぜなら、この0点には、運が悪くてそうなったと言う前提があるからです。
すなわち、偶然の寄与が平均回帰の前提。
では、へそを曲げて、意図的に白紙で答案を出し、0点を取っていたならどうか?
それは偶然ではなく必然から生じた結果であるため、平均には回帰しないかもしれません。
平均回帰性と遺伝
遺伝よりも偶然性の方が寄与した結果に対しては、平均回帰が起こります。
ただし、平均回帰は統計上の事象に過ぎません。
したがって遺伝に無関係な場面でも起こります。
これを最初に発見したのは、イギリスの遺伝学・統計学者、フランシス・ゴルトン。
彼は遺伝を統計的手法により研究しました。
いとこにチャールズ・ダーウィンがいます。
優生学などと言う、危なっかしい語を作った人でもあります。
しかし最初の統計学は彼が作ったのであります。
さて、本日の結果は、スイング負け。
持ち越した銘柄のほとんどが下げ。
まあこんなことは相場には多い。
これが平均的な事象なのであります。
すなわち、本日も平均回帰性。
回帰によって損をするのか、儲かるのか。
これが相場の聖杯をめぐる重要な鍵であり、当方が常に狙うところであります。
ヤバい株そこそこ厚めの買い。