順張り・逆張りのどちらが難しいか

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順張り・逆張りにおいては、それぞれに固有の難しさがあります。

そこには、質的な難しさの違いがあります。

両者のどちらが難しいのか?

当方の思いは、以下のようなものであります。

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順張りが難しい理由

順張りとは、順方向に張ること。

例えば、株価が100円から300円に動くのであれば、ただ100円で買って、300円まで持っていればよろしい。

これを3倍相場と呼びます。

一見、あまりにもたやすく見える、この順張り。

なぜそれを達成できる人が少ないのか?

その理由は、利益確定する、そのシンプルな意味においては、逆張りよりも順張りの方が、難しいからです。

なぜ難しいのか?

相場の幾何学

相場とは、ジグザグの複雑怪奇な挙動。

すなわち、一直線には動いてくれません。

そもそも、自然界には直線が存在しません。

直線とは、人間の概念に過ぎないのであります。

さらに、相場においてはなおのこと、直線が存在しません。

正確に言いますと、直線が存在したとしても、極めて短い距離においてのみ。

その他は全て、ジグザグであります。

例えば、100円から101円への値動き。

この1ティックは、直線的値動きと言って良い。

しかし、株価がそのまま300円まで直進することがないのは、ご存じのとおりです。

距離に比例した複雑性

出発点から目的地までの距離が長ければ長いほど、そのジグザグの複雑性は増します。

誰が100円から300円まで、一直線に取れるでしょうか。

そんな一直線の値動きが存在するならば、これほど簡単なものはありません。

なぜなら、途中のどこで買ったとしても、参加者全員が着実に利益確定をすることができるでしょう。

しかし、ジグザグの複雑性は相場において極まれり。

行ったり来たり、ジグザグの中に無限かつ不規則なジグザグを含む。

そもそも、目的地は上方にあるとは限りません。

すなわち、到達点が100円以下もあるよ、と。

人は直進性に囚われる

人はカオスを嫌い、概念に過ぎない直線に囚われるようになります。

そして、少なくとも、100円から101円の値動き、これは直線であると。

であるからして、ここで1円を取る。

思わずスキャルピングをし始めるのであります。

そして、いったん100円から130円に達した後に、下に行く場合。

ジグザグの折り返し地点、ここで空売りをかけたくなります。

120円まで落ちて反転するのであれば、今度は逆張りの買い。

すなわち、直進性に囚われてデイトレをし、直線の折れ曲がりに惹かれ、逆張りで入ることとなります。

これが順張りが難しく、何かと逆張りになる理由です。

放っておけば逆張り

人は、放っておけば、デイトレをし、逆張りをするようになります。

なぜなら、カオスを拒絶したいから。

値動きに直進性を求め、折り返し地点で入りたい、この思いで、行動パターンが似通ってきます。

カオスを拒絶しようったって、相場の本質がカオスそのものなのであります。

順張りを成功させるためには、これらの心理を乗り越えなくてはなりません。

カオスを受け入れ、カオスを超越した順方向の値動きを頂く。

これが出来て初めて、順張りは成功します。

すなわち、この意味において、逆張りより順張りの方が遥かに難しい。

そして、順張りの成功なくして3倍相場なし。

順張りなくして3倍相場なし

100円から300円の3倍相場は、順張りが出来て初めて成功します。

逆張りではありません。

多くの人は、この3倍相場は無理なので、諦めてチマチマと積み上げる手法となります。

これがデイトレ及び逆張りの理由であります。

しかし、3倍相場を諦めると言うことは、2倍相場も1.2倍相場も諦めることに他なりません。

なぜなら、握力のないところに順張りなし。

握力をもってカオスを取らざれば、相場は成らず。

この順張りに対し、逆張りはどうか?

逆張りが難しい理由

順張り・逆張りはそれぞれに特徴があり、どちらが難しいとは言い切れません。

当方、逆張りの難しさに気づくのに、長らく時間を要してきました。

逆張りのほうがより注意を要する方法である、と言えます。

結論としては、短期売買においては順張り重視。

その理由は以下のようなもの。

  1. 逆張りでは含み損が広がってからカットする場合が少なくない
  2. 勝率の高さが油断を生む
  3. 順張りのほうが超速損切りを意図的に行い易い

これらを順にご説明します。

1.逆張りでは含み損が広がってからカットする場合が少なくない

順張りの場合

価格上昇の不確実性

順張りでは、上図のような値動きを想定する事が多いです。

そして、超短期売買の場合には上がればすぐに利益確定してしまいます。

従って、α、β、γのいずれの場合も成功することとなります。

α、β、γ以外の場合

α、β、γの例外は、買った途端に「棒下げ」となる場合です。

そうなったらとにかく急いで損切りをしなくてはなりません。

ですから、「早く切れ」と念仏のように唱えつつ、下がったら即損切りする。

そんな心の準備をしておけば問題ありません。

これで何とか大ケガをしなくて済む場合が多いのです。

逆張りの場合

価格下落の不確実性

逆張りとは、下げの途中で買いを入れるケースです。

従って、δ、ε、ζの値動きの中、ひたすらリバウンドを待つことが多くなります。

δ、ε、ζ以外の場合

δ、ε、ζ以外の場合とは、買ってすぐに値上がりするケース。

この場合には、何も問題はありません。

スキャルピングなら、すぐに利益確定をすれば良いだけです。

なぜ逆張りで「待ってしまいがち」になるのか

そもそも逆張りとは、「逆に張って戻りを期待する」方法です。

最初から「戻り待ち」の姿勢であると言ってよろしい。

ややもすると含み損が広がってしまい、どうにもならなくなってから、仕方なしに損切りとなる場合が増えてしまいます。

逆張りでは、なぜ含み損が広がり、どうにもならなくなってから損切りとなってしまうのか?

期待して待つからです。

さらに、逆張りの勝率の高さがあります。

2.勝率の高さが油断を生む

短期投資において、逆張りの勝率は順張りに比べやや高い印象。

順張り・逆張りの勝率

短期投資 長期投資
順張り どちらとも言えない どちらとも言えない
逆張り 高い 比較的高い

売買のやり方は人それぞれであり、こうならない場合もあります。

ただ、当方の場合はこの通りであるため、逆張りにおいては、含み損を耐える機会が増えてしまいます。

しかも損切りをする場合には、すでに大き目の損となっている場合が少なくありません。

勝率から来る心理

思い込みがあるばかりに損切りは遅れます。

そもそも戻りそうだと考えているのに、少々の含み損でカットすることはできません。

この心理状態がまずいのです。

逆張りは油断を生みやすい。

戻り期待が油断を生む、これが当方の結論です。

長期と短期の順張り・逆張り

時間軸が短期であればあるほど、似たようなトレードを反復する回数が増えます。

超長期の投資法であれば、30年間損切りなしもありです。

優良銘柄ならガチホールド。

しかし、超短期、特にスキャルピングのような利幅の小さいトレードの場合、一日に何十回、年間で何千回、それ以上のトレードをすることになります。

にもかかわらず損切りをしない等と言うのは不可能です。

繰り返し損切りが必要とされる短期トレード、これにおいて、順張りは逆張りと比較して損切りの心構えを作りやすい。

なぜなら、そうしなければ、簡単にやられてしまうからです。

3.順張りのほうが「超速損切り」を意図的に行い易い

少なくとも短期投資、それも特にスキャルピングなど超短期の場合には、総合的に考えて難易度は

  • 逆張り>順張り

(逆張りのほうが難しい。)

なぜこのような結論になるのか?

私の順張り・逆張りトレード難易度判定

短期投資 長期投資
順張り どちらとも言えない どちらとも言えない
逆張り 難しい どちらとも言えない

こう考える理由は以下のようなものです。

順張りでの損切りではただ「早く切れ」と念じておけば良い

順張りスキャの場合、注意すべきトレードは買った途端に「棒下げ」をする場合。

この対処法はただひたすら「早く切れ」と自分に言い聞かせること。

少しでも下がったらブン投げれば良いと。

チャートが崩れているのに戻りを期待するようでは、順張りとは言えません。

順張りで崩れたら即刻切る。

単純明快です。

逆張りの損切りでは小細工をしながら必死に降りるケースが多い

逆張りとは戻り待ち。

前提として、戻ることに期待している。

相場においては、この期待が一番危険なものであります。

このため、逆張りの損切りにおいては、すでに含み損が広がってしまっている場合が多い。

このため、ナンピンしたり、下で買って上で売るのを繰り返したり、売買が複雑になりがちです。

これがストレスの原因になり、時間的損失になりします。

「敗戦処理」をしている間に、他のチャンスを逃す場合も少なくありません。

そもそも敗戦処理に掛かり切りになっていたのでは、「超短期」にはなりません。

従って、順張りのほうが超短期に徹しやすい。

では、どんな時に逆張りをするべきなのか?

逆張りで勝つ方法

嘘やろ?の下げ狙い

逆張りには「嘘やろ?」がなければなりません。

普通の下げに逆張りでは、たいして取れません。

信じられないほどの下げこそ、利益の源泉です。

従いまして、当方の考えでは、毎日逆張りするなどは愚の骨頂。

逆張りの本質がわかっていれば、決してそんな張り方はしないものであります。

では、その「嘘やろ?」と言う下げは、どんなものか?

この策定こそが逆張りを成功させる鍵です。

ピンポイントこそ強い

信じられないほどの下げに対し、戻りは急速。

ワンチャン逃せば、タイミングを逸する。

このピンポイントを狙うからこそ、あっと言う間に戻り、厚い利益となるのであります。

では、そのピンポイントとはどこにあるのか?

その答えは、

(ピンポイントの爆下げ)=(相場の下げ)+(個別株の下げ)

と言う式にあります。

相場の下げ

相場の下げが個別株の下げを助長します。

すなわち、相場の追い討ちがあって初めて、個別株の爆下げが起こり得る。

相場が下がっていないのでは、個別株はたいして下がりはしません。

相場は平気で2%でも3%でも下がります。

全体相場の3%下げは、個別株で言えば爆下げに相当。

この2~3%の下げが、個別株の爆下げを大きく後押しするのであります。

個別株の下げ

強力な個別の事情により、株は信じられないほど下げます。

ホルダーはたった一日で大きくやられます。

だからこそ、ブン投げがブン投げを呼ぶ。

この時、板注文が下方にぶち抜かれます。

ぶち抜かれた空隙は、真空地帯と呼ばれます。

この真空地帯が、下で買い、ずっと上で売ることを可能たらしめるのであります。

ストップ安は買うべきか

究極の下げを狙いに行くのならば、ストップ安で買えば良いのではないか?

そんな悪魔のささやきが聞こえます。

相場においては、悪魔の妄言が乱れ飛び、正常心が失われることになります。

はっきり言いましょう。

ちょっとやそっとでは、ストップ安は買ってはいけません。

当方、それで何度も息絶えました。

このブログを書いているのは、相場のゴーストであります。

逆張りは伸ばせない

ストップ安をつけないけれど、爆下げしている株。

これこそが逆張りで買うべき銘柄であります。

もう一つ、気をつけるべき事柄があります。

逆張りは伸ばせないと言うこと。

買って持ち続けていたら、最初の下げを打ち破って、さらに大爆下げ。

そんなことが実に多い。

逆張りで握力を効かせるのは至難の技であります。

多少の利益が出たら良しとしなければなりません。

さもなければ、あなたも私と同様、相場で息絶える経験をすることになるかも知れません。

相場のゴースト

当方、実は、相場のゴースト、すなわち幽霊との異名をとっております。

相場にデリートされ、何度もよみがえってきたのであります。

なぜよみがえってきたのか?

勝つためであります。

堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び、相場の勝者として返り咲くために。

返り咲くための一覧表、それが以下。

順張り・逆張りをめぐる比較表

順張り 逆張り
1.意味 順方向に張る 逆方向に張る
2.勝率 高くない 高い
3.損切り 忙しい 遅れがち
4.売買中の心理 つらい つらくない
5.難易度 難しい 難しい
6.参戦機会 多い 多くはない
7.利幅 広く取れる 広く取りにくい
8.大損 ありがち ありがち

この表は、あくまで個人的見解。

感覚的なもの。

以下、このように感じた経緯と理由などについて記述いたします。

1.順張り・逆張りの意味

そもそも株の値動きについて、順方向・逆方向をどう判断するべきなのか?

株価は常に上下動を繰り返しています。

このため、順と逆を決めづらい、と言う事情があります。

仕方ないので時間を区切って(例えば10分間)、その中で株価がどちら向きに動いてきたか。

その方向を順方向と決めるに過ぎません。

もっと長い時間軸では、逆方向と解されることがありえます。

時間を区切った定義づけ、と言うことです。

実は、順・逆いずれにせよ、マーケットについて行くことには変わりありません。

それを忘れてトレードをすることは危険です。

2.勝率

順張りの勝率は高いとは言えず、逆張りの勝率はある程度高い、と言えます。

順張りの勝率が高くない理由

高値で買って、さらに高く売る。

この順張りの場合、買った途端に急落、ワープ下げなんてことも。

株価が高値にある時点で、テッペンにいる状態。

落ちたら一直線、と言う訳です。

逆張りの勝率が高い理由

安値で買って、戻りで売る。

耐えれば戻る、その一心。

「薄利でもいい、勝たせてほしい。」

その期待に応えて相場が甘い顔を見せてくれます。

しかし、その甘い顔には裏があります。

3.損切り

順張りでは、ワープ一直線下げが度々。

当然、損切りは瞬足でなければ間に合いません。

それに対し逆張りでは、ついつい忍耐力。

今まで、忍耐力に応えて戻ってくれた実績があります。

この結果、じわじわ下げて大損なんてことに。

なぜ耐えるのか、それは期待しているからです。

耐えれば戻るよ、これが悪魔の誘い。

4.売買中の心理

慌てて損切りの順張り。

これに対し、忍耐力で引っ張る逆張り。

この相反する心理状態によって、順張りが苦手な人、逆張りが得意と感じる人に振り分けられます。

当方としては、順張りのほうがつらい。

なぜ逆張りが楽に感じるのか?

判断の先送りができるからです。

何でも先送りにするほうが楽に感じます。

トレードも人生も似ています。

先送りしたほうが結果がまずくなる場合が多い、この恐ろしさ。

5.難易度

順張りと逆張り、どちらが難しいのでしょうか。

  • その答え:どちらも難しい

筆者の印象では、どちらかと言うと、忙しい判断が求められる順張りのほうが難易度高し。

判断の先送りがある程度許される(ような気がする)逆張り。

こちらのほうがいくらか簡単な印象。

しかし、これ、相場の悪魔のささやきに乗っているだけ、と言う説があります。

6.参戦機会

順張りできそうな銘柄、逆張りできそうな銘柄。

どちらが多いかと言えば、順張りです。

もちろん当人のやり方によります。

新興市場を見ている限りでは、毎日必ず急上昇している銘柄があります。

全体相場が爆下げの時でも、爆上げしている銘柄があるくらいですから。

爆上げは目立ちます。

このため、参戦機械が多く感じられるのかも知れません。

7.利幅

順張りでは、上手くいけば利幅を広めに取ることができます。

買った途端に株価がスーッと伸びれば、しめたものです。

そのままストップ高張り付き。

S高連続もあるよ。

そんなことになれば、とんでもない利幅が取れることも。

これが順張りのねらい目。

しかし、当たりが来るまでは、何度も損切りを繰り返す必要があります。

8.大損

ありがち。

まさにありがち。

順張り・逆張りを問わず。

どうやって大損を回避するか?

この謎に取りつかれ、相場の亡者となることがあります。

ご注意ください。


さて、本日の結果は収支なし、ノートレ。

昨日目星をつけていた銘柄は、軒並み上がりました。

買っておけばそこそこイケた。

しかし、今一つパッとしない相場。

動き始めた銘柄は若干出てきていますが。

ひとことで言えば、いまいちですな。

秋相場のさらなるグイグイに期待します。

ノーポジ。