まだはもうなりの意味
相場格言、もうはまだなり まだはもうなり。
この意味は、もうはまだのようであって、まだはもうのようである。
しかるに、相場はまことにはっきりしない。
ならば、どうすれば良いのか?
こちとら、どうすべきかが知りたいのであります。
この格言の意味は、底を当てるのは難しい、と言うような内容に近い。
底も天井もなかなか当てられないのは当然であります。
その事実の適示、それだけなのか?
では、それに対してどうすれば良いのか?
わからないままであります。
相場用語とは、実にこのような類いが多い。
この格言、いったい誰が言い始めたのか。
言い出した人に聞いてみたいものであります。
出典
本間宗久
一説によると、江戸時代の伝説の相場師、本間宗久の著作に出典があるとされます。
本間宗久とは、米相場で成功した米商人にして相場師。
しかし、その著作、原本の所在は不明。
彼の著書とされるものは、後に別人によってまとめられた、との説があります。
書いたのは誰なり、誰が書いたなり。
彼は、享保9年(1724年)、山形は酒田の豪商のもとに生まれました。
ローソク足と酒田五法の考案者ともされています。
しかし、その原本が無いなり。
国会図書館の蔵書によれば、本間宗久に関する最古の著作は明治27年のものとなっています。
まだはもうなりとは、長らく独り歩きを続けてきた相場格言に他ならず、その原義は不明のままであります。
猛虎軒
天明7年(1787年)、彼の著作が残っています。
現存する猛虎軒の著作は、国会図書館のホームページで詳細に閲覧することができます。
当方、この中に、まだはもうなりの記述を確認することができました。
国立国会図書館ホームページ>デジタルコレクション 八木虎の巻(著者 猛虎軒 出版年月日 天明7)
37ページのうちの22ページ、左側。
抜粋しますと、
「めうはまだなり まだはめうなりといふ…」
申し訳ないがこの草書体、ひらがなさえ読み取りにくい。
達筆なのか知りませんが、読めないのでは意味がありません。
それでも頑張って読んでいくと、「まだ・もうの心を控え見るのが良い」と言うような内容。
心を控え見るって何よ。
禅問答のようですな。
何をどう控え見れば良いのか、その具体的手順は今一つ、書いてはいないようで。
困りましたな。
これがまだはもうなりの原本であり、出所の一つであります。
結論
申し訳ないが、この相場格言、全く役にも何にも立ちやしない。
確かに、この格言とやらの指摘する内容はその通りです。
しかし、では、どうすればよいのか?
それはわからないままなのであります。
なぜそんな役立たずの相場格言が、長きに渡り独り歩きをしているのか。
はっきり言いましょう。
相場格言とは、格言にも何にもなりやしない、言っちゃあ悪いが、お花畑な用語が多々あるのであります。
何がお花畑であるのか。
ただ事実を指摘し、それだけにとどまり、何も教えてはくれない。
それどころか、もともと深く考えられて生み出された言葉では到底ないのであります。
むしろ、何かの流れで偶然につぶやいた禅問答。
しかるに、相場格言に振り回されてはなりません。
結局のところ、具体的相場勘を自分で組み立てる必要があるのであります。
【実録】まだはもうなり【2019.1.31】
昨日に引き続き、某値がさの新興株が寄らずのストップ安張り付け。
2日連続のS安。
買ってなくて本当に良かった。
そもそもこういう場合、後付けで下落の理由が判ります。
相場と言うものは、たいていの場合、値動きの理由は後付け。
しかもその後付けの理由に「織り込み済みだったので逆に動いた」などと言う、訳のわからないケースもあります。
これでは、値動きを予想することは不可能であります。
ストップ安後に買うべきか
昨日寄らずのストップ安張り付けになっていて、本日やっと寄り付いた医薬品株。
ディフェンシブセクターの代表である医薬品の大型株。
こんなに下がるのはやりすぎに思えます。
よほど寄り付きから買っていこうかと思いました。
しかし、結果は見事に寄り付き直後、雪崩のような下落。
買っていたら即刻大損でした。
やってもうた
わからないのであれば、観察だけしてれば良い。
リバウンドし始めたかなと言うタイミングで、おっかなびっくりインしたところ、極めて狭い値幅ですが利益が出ました。
損失を重ねると、このようなトレードしか出来なくなります。
1回のトレードの利幅が狭いと、似たような事を何度か繰り返し、後にドカンとやられて、トータルで負け。
コツコツドカン。
もっと利幅を取るトレードをしなければなりません。
上記の銘柄、3営業日で半額かと言うレベル。
果たして明日はどうなるのでしょうか。
持ち越してしまいました。
まだはもうなりの逆張り
このような逆張り投資法は、おかしな安心感があるので、心理的に手が出やすい。
しかし、経験則上、たいして勝てません。
逆張りはコツコツドカンの見本市なのであります。
そもそも、逆張り・順張りの区別は、自分本位の分け方に過ぎない。
自分が逆張りと思っていても、長期投資の人からすれば順張りの押し目買いに見えるかも知れません。
相場の本質
順か逆か、買い易いか買いにくいかなどは、自分が信じているだけの基準に対する勝手な評価です。
まだはもうなり、もうはまだなり。
何とも不可解で煮え切らない、それが相場の本質。
ではどうすれば良いのか。
相場とは、このあくなき追求の場であります。
と言えば格好は良いが、言い換えると、相場は迷宮。
まだはもうなりとは、相場迷宮を彷徨う、ゴーストのつぶやきなのであります。
本日の結果および相場雑感【2023.1.19】
本日ノートレ。
底近くの微妙な相場で下手に手を出すと、損切りしたり入り直したり、余計な神経を使います。
その割にいくらも儲かりません。
これは経験則から明らかです。
昼夜1日中相場に張り付いて、儲かりゃしない。
そんな具合なら、最初から寝ていれば良かったのであります。
相場に神経をすり減らされても、寿命が縮まるだけ。
本当のホントのチャンスだけ取れればよろしい。
それだけで十分な利益は出ます。
今日も寝ていれば良かったなあ、ずっとザラバ見ていたけど。
もうはまだなり、まだはもうなりの相場につき合ってはならない、そういうことであります。
ノーポジ。