下ひげ陽線高値に見る相場の傾向とその対策

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陽線が連続したら、必ずと言って良いほど出てくるローソク足の下髭。

ここで利益を出すと言うのは、思いのほか難しい。

そもそも下ひげは「下」の部分にある訳で、急落も起こり易い。

特別売り気配になる恐れもあります。

ローソク足のパターンをどうとらえるべきなのか?

当方の思いは、以下のようなものです。

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下ひげとは

下ひげとは、ローソク足の一形態。

読み方は「したひげ」、漢字では「下髭」。

文字通り、下方に一本のひげ状の直線が出ています。

ローソク足では、直線の部分は「行って来い」、つまり株価が一往復して戻って来たことを意味します。

下ひげ陽線、下ひげ陰線、下ひげ十字のように、ローソク足本体の形状によって、様々な種類があります。

高値圏・安値圏の下ひげ

下ひげのローソク足は高値圏でも安値圏でも、どんな価格帯においても出現します。

そもそもローソク足と言うものは、いつでもどこでも、あらゆる形状が出現する可能性があるものです。

パターンが決まっていたり、出現頻度に偏りがあるなら、いくらか予測も付け易い。

しかし、正直な話、ランダム的。

偶然性の産物と言って良いのであります。

書物によっては、こういう局面で出易いなどと書かれています。

これを鵜呑みにしてトレードをすると、大損しかねません。

天井・底値どちらの下ひげが買いか

上記の出易い・出にくい論と同じで、最初から見込みをつけることは難しい。

ローソク足だけではなく、全体相場や同じセクターの銘柄の動きから、総合的に判断せざるを得ません。

総合的な判断と言っても、所詮が素人の個人トレーダー。

結局は勘で売買することが多くなります。

「勘だからロットは小さくしておこう。

儲かったらラッキー」的な。

その結果、集計を取るとすれば、どちらかと言えば底値圏での買いのほうが、買いで上手くいくケースが多いような。

これはあくまで当方の感覚ですので、人によっては逆になります。

後述しますが、相場においては、このような一般論など当てにも何にもなりやしないのであります。

下ひげの連続

相場が上昇・下降中、あるいは膠着しているにも関わらず、下ひげが連続することがあります。

下ひげの底で買えれば、たやすく儲けることができます。

たいていの場合、そうは問屋が卸しません。

上手く行きやしないのです。

そもそも前もってローソク足の形状を当てることができるなら、どんどん儲かります。

しかし、下ひげの底だろうと思って買って、そのままさらに長い大陰線、そして涙に頬を濡らす。

その先は、損切りか忍耐かの二択です。

しかし、相場において、二択を繰り返すことは危険です。

知らないうちに、引き返せない泥沼にハマるからです。

二択がダメな理由

政治家の答弁で、「記憶にありません」と言うのが多いですが、あれも同じ理由。

Yes、Noと言う二択に正面から答え、どんどん突き進むと、いつの間にか引き返せない、想定外の結論に持ち込まれてしまうことがあります。

それを防ぐために、逃げの答弁をせざるを得ない訳です。

例えば、「空が晴れていた時、気分が良かったですか?」

と聞かれた場合、Yesと答えてもNoと答えてもいけません。

なぜなら、たとえその日に雨が降っていたとしても、晴れを認めたことになってしまうからです。

この場合、そもそも、質問が間違えているのです。

つまり、損切りか・忍耐か?

この問いが正しいのかどうか。

本当は問い自体が間違えているのかも知れない。

相場においては、闇雲に二者択一を行ってはなりません。

行きつく先は、引き返せない相場の蟻地獄であるかも知れないのです。

ダブルの下ひげ

下ひげの中に下ひげが現れることがあります。

「行って来い」の中に「行って来い」が出現します。

フラクタル形状。

フラクタルとは、一つの形の中に、さらに同じ形が含まれ、拡大すればするほどに連鎖していく形状。

小さな「行ってこい」を繰り返しながら、最終的に大きな「行って来い」となる。

これは厄介です。

全てを取れば大儲け、しかし、それが至難の技であることは、想像に難くありません。

相場とは、このようなカオスであります。

しかるに、どうすれば良いのか?

相場の一般論頼らざるべし

相場において、一般論ほどあてにならないものはありません。

たとえば、上ひげ・下ひげの一般論と言うものがあります。

ローソク足の形状で、方向性を一般化する、そんな手法。

上ひげは弱い?

上ひげが出たら弱い、この説は本当でしょうか。

上方向に行って来い、これが上ひげ。

これが出たからには、上がりそうで上がらない状況を意味するので、ローソク足は弱い、そんな説明。

しかし、上ひげが出た直後において、爆上げをすることなど、普通にあります。

ちっとも上ひげは弱くない。

上ひげ弱しの反証

上がってから下がった状態を表す上ひげ。

この上ひげの中の下げ、この機会を押し目と考えて買う筋は、いくらでも存在します。

彼らはいわば押し目買い。

再度上がるまで売ろうとしません。

すなわち、上ひげが出たから、弱いとは言えません。

強含む場合さえあります。

これが相場の事実です。

上ひげで何が言えるか?

それは、どちらかと言えば弱いと言えるのかなぁ、と言う程度。

この感想的判断、意味はあるのでしょうか?

相場における一般論の効力とは、その程度であります。

一般論の信頼度

下ひげは強い、などと言う論も同様。

下ひげはいったん下へ行き、戻った状態。

下へ行ったが、買いが入った。

これを強いと判断する、この説明の信頼度はどのくらいあるのか?

結論としては、下ヒゲでどうこうと決めつけることはできません。

一般論は、あてにも何にもなりゃしないのであります。

実は相場において、このような例は枚挙にいとまがありません。

上げと強さ

上昇銘柄は強い。

確かにそうでしょう。

しかし、それはその時点での結果を言っているまで。

あまりに急騰し過ぎた銘柄は、一転、急落することが多い。

それなら、強くないではありませんか?

逆に弱い。

弱すぎてたまらないのであります。

実際の話、上昇銘柄を買った瞬間に急落し、大損するなどは良くある話です。

つまり、一般論はさじ加減。

加減を間違えたなら、その論は全く無用の長物となります。

  • 上ひげは弱い
  • 下ひげは強い
  • 上昇銘柄は強い

このような言説はそもそも、なぜ存在するのでしょうか。

一般論の存在理由

なぜ一般論が存在するかと言えば、その説明が受け入れやすく、説明しやすいからであります。

たとえば、努力した方が良い、などという一般論も同様です。

これに反論してくる人は少ない。

そして、仮に反論されたとしても、昔からよくある説明を繰り返せば良いだけなので、対処がしやすいのであります。

説明する人も聞く人も、考えなくて良い、しかるにやりやすいのであります。

実はこの手法、芸能人や政治家、インフルエンサー、そして学校の先生すらも多用しております。

いかにも画期的なことを言っているように見える。

その実、よくよく聞いてみてれば昔からある、単なる一般論。

そんなことが多い。

丸々鵜呑みにしたところで、事はたやすく解決しません。

一般論は必要か

努力をすると言っても、その方向性が間違えていれば、徒労に終わります。

中途半端に努力するくらいなら、最初から何もしない方が良いのです。

山で遭難したら下手に動かない方が良い、これは良く言われること。

遭難中に下手な努力をすれば、命を落としかねません。

相場で言えば、損切りを耐えてしまって、上昇を待つ。

その後、努力の一環としてナンピン買いをしてしまい、我慢の末に大損。

なぜこうなるのか?

努力の方向性が間違えていたからであります。

努力の重要性を訴える一般論は、この場合、意味を持ちません。

では、どうすれば良いのでしょうか。

当方の考える解決策、それは個別の特殊事例に着目することであります。

ミクロの一つ一つに対応策を見つけ、その経験則を積み増す。

例えば、上ひげが出たのに、強含んだ場合を覚えておく。

その場合、どう考え、どう行動すれば良かったか。

結論は、一般論ではなく、特殊事例の寄せ集め、ミクロなデータの集積であります。

だからこそ、想定されるケースは複雑多岐に渡り、一筋縄ではいかないのであります。

ローソク足の一般論

一般論を言うなら、選りすぐった基本だけを確認するに留めるのがよろしい。

ローソク足の基本について、当方の思う所は、以下のようなものです。

ローソク足では、折れ線グラフよりも値動きを直感的にとらえることができます。

折れ線グラフでは、複雑な値動きのイメージがつかみにくいのであるからして。

ローソク足とは

ローソク足は、江戸時代の日本、米相場において使用されたのが最初。

今では世界的に使われている表示形態です。

足本体の色は、始値から終値への値上がり・値下がりのいずれかを意味します。

明るい色が値上がりを、暗い色が値下がりを意味します。

これが陽線・陰線。

始値(Open)、高値(High)、安値(Low)、終値(Close)のいわゆる四本値。

ローソク足はこの四本値を図示したものです。

ローソク足(陽線)の四本値

ローソク足(陽線)の始値・高値・安値・終値

ローソク足は、主に

  • 分足(1分足、5分足、その他)
  • 日足
  • 週足
  • 月足
  • 年足

など、用途に応じて様々な時間軸で表記されます。

ローソク足の盲点

足は、一見、同じルールのもとに描かれていると思われがち。

実はそうではありません。

地図で言うところの縮尺・縦横比については、さまざま。

値動きの大きい銘柄とほとんど動かない銘柄のローソク足、これを全く同じルールのもとで描くと、一つの画面に収まり切らないことがあります。

例えば、

  • 始値から終値まで20%下がった銘柄
  • 2%しか下がっていない銘柄

を1つの画面に収める場合。

これらをそのまま描いたのでは、株ツールの画面に収まり切らない、と言う訳です。

ローソク足の縦横比

地図で言うところの縮尺が銘柄ごとに違う。

これだけならまだしも、縦横比が変更されていることもあります。

ローソク足の縦横比は、証券会社のツールによって異なる場合が多い。

足の横幅は、細く書こうが太く書こうが自由であり、ルールさえありません。

このため、横軸(時間軸)が長くなったり短くなったりし、錯覚の原因となることがあります。

直感の弱点

同じロウソク足でも、全然動いていない場合もあれば、その逆もある、と言うことになります。

にも関わらず、ローソク足全てが同じルールのもとに描かれていると思い込む。

これが、値動きを正確にとらえられなくなる一因となります。

同じ縮尺・縦横比で描かれていない場合がある以上、銘柄間の値動きの違いを見る場合には、より注意が必要です。

ローソク足の錯覚例

値動きの大きい銘柄の場合、短期間で100円から800円まで動いてしまう場合があります。

日足において100円台と800円台のローソク足を比べます。

100円台と800円台における同じ銘柄の値動きの違い

この2つのロウソク足では、始値から終値までの値動き率が全く違います。

同じロウソク足と思い込むのは錯覚です。

錯覚を起こしやすいチャートの例を、他にも列挙します。

値上り前 値上り後 上昇率
900円 1000円 11.1%
3000円 3500円 16.6%
100円 130円 30.0%

 

900円→1000円

900円→1000円の値動きを示すチャート

3000円→3500円

3000円→3500円の値動きを示すチャート

100円→130円

100円→130円の値動きを示すチャート

上記3つのチャートでは、上昇率の全く違う値動き。

それが全く同一のチャートとして描かれています。

縦横比と縮尺を変更すれば、このようなことが普通に起こります。

値動きの曲線

値動きとローソク足の比較図

【左】正確な値動きの曲線。

【右】それをローソク足にしたもの。

ローソク足だけを見ていると、正確な値動きはわかりません。

理想的な買い・売りポイント

最も合理的な買い・売りポイント

値動きに即応した理想的な買い・売りポイントは、図では2回あります。

にも関わらず、ローソク足にはそれが出ません。

ローソク足の思い違い

激しい値動きと単純なローソク足

実は、いつもローソク足ばかりに頼っていると、このような激しい値動きを軽視してしまうことがあります。

ローソク足一辺倒がまずいのであります。

1分足のローソクに含まれる細かい値動きを見るには、ティック足を使うのがよろしいです。

ティック足は、全ての約定についてドット単位で表したもの。

大引け後に改めて細かい値動きを調べる時には、これを活用します。

錯覚防止のためには、以下のテクニカルも役立ちます。

エンベロープ

エンベロープは、テクニカルとしては単純明快な類いのものです。

エンベロープとは

エンベロープを表示したチャート

エンベロープは、英語のEnvelope(封筒、包み)が語源。

移動平均線を上下に平行移動したものに過ぎません。

エンベロープの設定

  • 移動平均線自体の設定
  • 移動平均線から平行移動させる率の設定

を調整します。

エンベロープのメリット

エンベロープの曲線効果

一定の率で移動平均線を平行移動した曲線。

これを常に表示させておくと、値動き率に関する勘違いが起こりにくくなります。

少ししか動いていないのに、大きく動いたと感じてしまった、あるいはその逆。

それを防ぐためには一定の効果あり。

同様の効果が期待できるテクニカル指標として、フィボナッチ・リトレースメントがあります。

常に出しっぱなしOK

フィボナッチ・リトレースメントの場合は、個別チャートに対し、その都度表示させる手間がかかります。

しかし、エンベロープの場合には、通常、いったん設定したら画面を閉じるまで(ザラバが終わるまで)出しっぱなしOK。

銘柄を変更しても表示される場合が多い。

(ツールによります。)

この手軽さは、フィボナッチ・リトレースメントの上を行きます。

当方の場合、値動きの誤認を防ぐため、このエンベロープを表示したままにしています。

錯覚や誤認を防止し、ミクロな値動きに解を求める。

値動きにおいて、一般論には決して騙されない、そんな思いの当方であります。


さて、本日の結果は、ノートレ・ノーポジからのスイング。

相場はそこそこ下げてきました。

こんな時にチャンスはやってくる。

しかし、相場がもっと下げたらどうするのか?

それは考えてなかった。

だいじょぶなんか?

アレな株、結構厚く買い持ち。