IPOのデイトレ

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新規公開株、すなわちIPOは値動きが大きい。

これはデイトレ勢にとって、目が離せない対象です。

IPOのデイトレ、その手法とは?

当方の思いは、以下のようなものです。

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IPOのデイトレ

スケジュール確認

IPOのスケジュールは、割とぎりぎりになってから判明します。

概ね1カ月ほど前に上場日が公開されることが多いです。

新規公開株と言えば12月

年度によっても違いますが、12月は連日のように新規IPOが設定されることが多い。

1日に2銘柄あるいは3銘柄のIPOが設定されている場合も珍しくありません。

IPO株の活況度合い

IPO株の活況度合いは、

  1. 公募割れしないこと
  2. 上場初日の売買代金
  3. しっかり上値追いするか

などによるところが多いです。

公募割れしないこと

IPO銘柄が公募価格より下で寄り付くと、売買代金が活況とは言いづらい状態になることが多い。

その日のうちに公募価格を超えて来るような動きがあればまだ良いですが、そうなることは比較的少ないです。

上場初日の売買代金

活況と言えるためには、初日に売買代金100億円はほしいところ。

発行済株式数にもよりますので、一概には言えませんが。

50億円以下は、閑散に近い。

経験則的感触では。

しっかり上値追いするか

だらだらと下げ、陰線引け。

さらに陰線が続く。

これが弱いIPOの典型。

もちろん途中から折り返し、猛然と強くなる場合もありますが。

資金の流入あっての上値追いです。

IPO株の仮条件

そもそもが公募価格が決定される前に、不人気であるIPO株はある程度の予想がつきます。

それは仮条件と言う、仮の公開価格に現れます。

IPO株の仮条件とは、公募価格を決めるための選択肢です。

通常は3種類、例えば1200円、1250円、1300円と言うように、3段階の見込み価格が提示されます。

人気のある銘柄はこの3つの選択肢のうち、最も高い価格が仮条件となり、そのまま公募価格となることが多い。

不人気株はたいていの場合、3つのうち低い方の価格となります。

IPOの相場底上げ

人気のない銘柄は、寄り付いた後も今一つ値動きが冴えず。

当方、人気がない、あるいは売買が活況とならないと判断した銘柄については、デイトレでインすることはありません。

やり易い銘柄はある程度売買が活況となり、値上がり傾向にある銘柄です。

IPO株が初値をつけた後にどれもこれも上がるような相場ですと、そのまま全体相場を牽引する格好となり、トレードし易くなります。

IPO株が例年集中する12月が掉尾の一振りとなるのは、そんな時です。

IPOが年末の上昇相場に一役買うことになるのであります。

IPOと日経平均

日経平均が低迷していたり、全体相場が閑散気味で冴えない場合、IPO銘柄だけが急騰したりストップ高を連発する場合があります。

これは短期売買をする者にとってはありがたい状況です。

どんなに全体相場がダメで流行っていなくても、IPO株がガンガン上がってくれさえすれば、トレードに参戦する機会が増えるからです。

つまり、IPO銘柄と日経平均はあまり(と言うかほとんど)連動していません。

IPOにおいて独立して相場は成り立つと言えます。

セカンダリー狙い

IPO株が相場を牽引する雰囲気になっているかどうかはかなり大事です。

当方、ときおり上場初日から翌日までIPO株を持ち越すことがあります。

その際、気をつけるのが売買代金が盛り上がっているかどうか。

結局のところ、翌日の寄り付きで値上がりするかどうかです。

誰かが上の値段で買いを入れてくれるのか否か。

リスクを負って上の値段で買ってくれる人がいるからこそ、値上がりが享受できるのであります。

閑散相場でIPOに資金が入って来ない場合には、持ち越す勇気は出ません。

値動きの命取り

IPO株は上場初日からしばらくの間、他の株よりも値動きが格段に大きくなることが多い。

このため、儲けるチャンスが増えるものの、大損をするリスクも増えます。

すなわち、ハイリスク・ハイリターン。

IPO株が思い切り下げる場合には、みるみるうちに平気で15%くらい下げます。

初値が公募価格の2倍・3倍と高く寄り付いた場合や、ストップ高を繰り返して値上がりした場合には要注意。

特別売り気配に巻き込まれたら大損を覚悟せざるを得なくなります。

IPOの短期売買で利益を出すためには、値上がりしている最中にピンポイントでインし、値上がりしているうちに降りる必要があります。

下がったところを含み損で耐え、上昇するところまで待つ、このやり方は、IPOでは命取りとなりかねません。

当方の場合、そうなったら負けだと考えています。

IPOの天井を買えるか

IPO株をどこで買うべきか。

この答えは実に難しい。

なぜなら、このハイボラチャート。

IPOを攻略できれば、相場は手中に入ったも同然です。

市場において、もっとも値動きが大きい部類のもの。

すなわち、もっとも高効率で利益が上げられます。

しかし、その逆もまた真なり。

最高効率の負けもあるのであります。

そびえたつIPO株の壁をどのように攻略すれば良いのでしょうか?

天井こそ上げる

相場において、どこで一番上げて来るのかと言えば、それは一般的に、天井圏であります。

多くの人は、天井圏においては下げて来る、と考えます。

しかし、相場の青天井。

値上がり率は、位置が上であればあるほど、上がる傾向にあるのです。

そして、公募・売り出し価格から見れば、IPO株は相当上の位置にあると言っても過言ではありません。

IPOの上値は、いわば鬼の天井圏とも言え、さらなる爆上げ狙いが可能となります。

すなわち、IPOを制すれば相場を制すことができる。

数日で倍もあるよ、と言う訳であります。

注意しなければいけないのは、逆もまた真なりと言う現象。

天井こそ下げる

天井こそ上げる、しかし同時に、天井こそ下げる、この相場の二重性。

一旦下げ始まったら、天井圏の下げは速い。

下り最速と呼ばれるゆえんであります。

数日で半値もあるよ、と。

すなわち、天井圏の上げは、下り最速との境界に、静かにたたずんでいる。

そんな頂上、崖っぷちのIPO株において、買いの一手を出せるのか?

おっそろしい相場の極致がそこにあります。

危険な二者択一、それがIPOの天井圏に他なりません。

どっちなのか

上がるのか下がるのか、一体どっちなんだい?

直近IPO、素っ高値の銘柄群では、常にこの問題を突きつけられ、気を休めることができません。

そもそも直近IPOは、通常、空売りができないのです。

原則、買いのみの勝負。

すなわち、上げ・下げを当てに行く、これなくしてIPOの素っ高値は成らず。

どうすれば上げ・下げの二択で勝てるのか?

この問題に長らく付き合わされて来ました。

何度もエライ目に合わされてきました。

身ぐるみ剥がされ、丸焦げにされてきたのです。

そして、得られた一つの思い。

相場の核となっているか

該当銘柄が、相場の核となり得るか。

これが直後に上がるか否かの試金石であります。

注目度において、日本市場ナンバーワンであるか否か。

これを全市場の中で見抜くのであります。

選別と言ってよろしい。

他にもっといい株があった場合、そっちが上がり、こっちは下がる、なんて具合であります。

相場は人気投票、そんな言葉が頭をよぎった、そんなせつな。

IPOの落とし穴

やられた分は、やられた場所で取り返すしかない、そう考え、知らず知らずのうちにドツボにハマる。

自分からハマり込んでいく。

これが相場の恐さです。

IPO初日の値動きは、その恐怖を最も顕著に見せつけてくれます。

チャンスあればリスクもあり

世の中の全ては背中合わせ。

このIPO株の、ばかばかしいほどに大きな値動きも同様。

値動きが大きければ、チャンスは確かにあることでしょう。

しかし、IPO初日、その値動きは信じられないレベル。

どんどん上がっていく中、突然、瞬時に15%下げる。

特売りに巻き込まれる。

誰がそれを予想できるでしょうか。

「ちょっとだけ、ほんの少しだけ値動きを頂くだけさ。」

そんな淡い願望が一瞬のうちに地獄絵図へ。

1トレードで退場もあるよ。

相場のトレードオフ

確かに値動きが大きければ大きいほど、その一部分を頂きやすい。

そうであればあるほど、大損可能性は高まるのです。

これを当方の用語で「相場のトレードオフ」と言います。

トレードオフとは、何かを得れば同時に何かを失うと言う意味。

このトレードオフを最も実感できる、いや、痛切に教えてくれるものが、IPO初日のトレードであります。

命取りとなるその1

命取りとなり得る筆頭、それがレバです。

レバを掛けたところで一瞬にして特売りに巻き込まれ、ストップ安張り付き。

15%やられて、S安でがんじがらめにされる。

当方、IPO株初日の売買においては、レバを掛けないことをルールにしています。

一発退場の阻止、それが最優先です。

極小ロットでインしても大きくやられる場合さえあります。

相当の確度をもって利益が出ると踏んでいない限り、手を出すべからず。

「損切りが巧い」なんて奢りは、一瞬にして打ち砕かれます。

求められるのは超絶技巧

損切りにしても、このくらい下げたらカットするなどと言う、機械的基準が役に立ちません。

特売りに巻き込まれたら、切るものも切れなくなります。

IPO初日においてはそれ以外にも、一瞬の爆下げの後にすぐ戻るなどと言う、摩訶不思議な現象があります。

「戻るなら下げるなよ」と言いたいわけですが。

この「下げ+戻り」も、極めて短時間に起こり得るため、いわゆる逆指し・自動損切りなど、簡単に刈られてしまいます。

すなわち損切りのみにおいても、超絶技巧が求められます。

損は益で埋め戻すしかない

損失を利益で埋め戻すことができる、その算段なくしてIPO初日のトレードにインすることは難しい。

つまり、算段が全てです。

IPOにおいては、特にそれが言えます。

15%やれてから、さらにストップ安張り付けを食らう。

翌日さらに15%やられ、トータル-30%。

この30%を取り戻すには、同じだけ勝たなければならない、この当然の事実。

あなたは、そこまで利を伸ばすことができますか?

それが損を益で埋め戻すと言うことです。

値動きにやられないために

公募価格より下で寄り付く場合

通常、IPO株は公募価格より上で寄り付く場合が多いです。

体感、7割くらいは上で寄り付くのではないでしょうか。

このため、IPO株を公募価格で買うことができさえすれば、儲けられる可能性がかなり上がります。

しかし世の中そんなに甘くありません。

なかなかIPO株は分けてもらえない、そんな現状があります。

IPO株が当たりさえすれば、濡れ手に粟で儲けられる可能性は上がるのに。

公募価格より下で初値がつくと、その日の値動きは今一つとなることが多い。

デイトレは難しくなります。

なぜなら、ホルダーがいつ売ろうかと身構えるからです。

当方の場合、公募より下で初値をつけた場合にはインしません。

もちろん公募割れの場合においても、予想に反し、寄り付いてからグイグイ上がる場合もあります。

このあたりは全くの謎。

と言う事で、謎にはつきあわない、そんなルール。

即金規制がかかる場合

IPOの初日に値付かず、そのまま終わった場合、翌営業日は即金規制がかかります。

即金規制になりますと、インするためには手つかずの現金が必要になります。

前日にトレードした分の現金は使えません。

もちろん信用取引もできません。

現物売買のみです。

こうなると、取引に当てる資金の総量が大幅に減ることになります。

それで出来高が減ることとなります。

値動きも冴えない場合が多い。

しかし、必ずそうかと言うと、そうではありません。

いきなりぶち上げる場合もあるのです。

このあたりも謎。

即金規制がかかる銘柄は、初日においては、ずっと特別買い気配となり、寄り付かなかった訳です。

このため、そもそも初値がとても高くなっています。

即金規制がかかっても寄り付かず、初値がさらに高くなる場合もあります。

その場合は連続の即金規制となります。

そして、寄り付いた後にいきなり急落してくる場合も。

これが稲妻の鉄槌。

即金規制の後に寄り付いたIPO株は、そんな事情。

全く予想のつかない、とんでもない値動きとなる場合、少なからず。

朝方寄り付かない場合

初値をつけるにしても、大きく分けて、朝方寄る場合、昼の前後に寄る場合、後場に寄る場合の3種類があります。

当方の場合には、初値が公募価格の3倍になったら手を出さないことをルールとしています。

朝方寄り付かないIPO株の場合、寄り付くのを待たねばなりません。

ずっと特買い状態の板表示と、延々にらめっこをするのです。

場合によっては何時間も。

デイトレに際しては、わずらわしいこと他なりません。

待っている間に眠くなることも。

多くのデイトレーダーがその状況ですので、当然ながら参加者が減り、値動きが冴えなくなる場合もあります。

当方の個人的感想ですが、11時~11時30分、12時30分~13時30分くらいの間に初値をつけたIPO株は、値動きが悪い、そんな印象。

変則寄り付き

通常、IPOの初値は前場から午後2時10分くらいまでの間につくことが多いです。

それ以降の時間帯になりますと、初日の上限価格に達してしまい、寄り付かないのです。

IPO株の初日の上限価格はあらかじめ公表されています。

ですので、午後2時15分くらいまでに寄り付かなかった場合には、以後寄り付くことはないと高をくくり、監視をやめる人が多いでしょう。

しかし、世の中不思議なことがあるものです。

大引け間際の2時55分にいきなり寄り付いた、などの事例があります。

誰かが急に売って来たのでしょうか。

何が起きているのかはわかりませんが、たまにそうなることがあります。

指値を出しっぱなしで放置していると、とんでもない目にあうことがありますので、要注意。

トンデモ特売り

IPO株初日の値動きにおいて、もっとも恐ろしい現象。

それがトンデモ特売りです。

通常の銘柄の場合、株価が何となく下向きになってきて、不安を感じたあたりで特別売り気配になることは良くあります。

しかし、IPO株初日の値動きにおいては、そうではありません。

グイグイ上がっているのに突然特売りがやってくることもあります。

寄り付いてすぐ特売りと言うケースも。

特売り後に寄り付いたと思ったら、再度特売りなんてこともあるのです。

このあたりの暴力的な値動きには覚悟が必要です。

巻き込まれても平気でいられる心の強さを持ちたいところ。

全体への影響

一日でIPOが3件以上あるような日の場合、他の銘柄の出来高がショボくなってしまうことがあります。

IPOに出来高を食われるのです。

IPOの重複上場と来ては、やむを得ません。

正直な話、無闇な新規上場、控えてくれませんかね、と最近では考えています。

そう思っている人も少なくない筈です。

IPO週間で損をしない方法

IPOのラッシュ時期。

年によっては半端ない場合があります。

何が半端ないのか?

銘柄数であります。

例えば、2021年12月15日以降、年末までの新規IPO銘柄数は

  • 12/15 1銘柄
  • 12/16 2銘柄
  • 12/20 3銘柄
  • 12/21 4銘柄
  • 12/22 6銘柄
  • 12/23 5銘柄
  • 12/24 7銘柄
  • 12/27 2銘柄
  • 12/29 1銘柄

計31銘柄となっていました。

さて、このIPO銘柄群をどう扱えば良いのか。

当方なりの見立ては以下となります。

手を出さない

IPO銘柄はとにかく、値動きが激しい。

初寄りの日から1~2週間はその傾向が強い。

素っ高値を買い、翌日まで持ち越すぞ、などと意気込んでいたら、数分でストップ安。

当方、これで軽い致命傷を食らいました。

また、安く買ったつもりでいたら、数分でさらにストップ安。

高値を買おうが安値を買おうが、やられる。

何でもかんでもストップ安をつけ、息の根を止めてくる。

そうかと思えば、どん底から急騰。

ストップ高をつけて、寄らずのS高連発なんてこともある。

この乱高下、読むのがかなり難しい。

直近IPOの銘柄の正体がこれです。

当方、一切手を出さないと心に決めていた時期もあります。

しかし、これだけの数のIPO銘柄がある以上、全く無視と言う訳にはいきません。

チャンスの限定

チャンスを限定してインする。

インを絞り込んで参加する。

それが一つの方法です。

となりますと、どんな場合がチャンスであるのか。

それが問題となります。

素っ高値を買って行けばいいのか。

爆下げしたところを買えば良いのか。

その答えは、いずれもノーであります。

当方、そのいずれにおいても、爆損を食らっておるのです。

そんな、値動きの後追いで儲かるほど、相場は生易しいものではありません。

超高難易度。

それがIPOです。

しかるに、チャンスの限定が極めて難しい。

すなわち、徹頭徹尾、値動きが不可解であり、値動きの謎を解き明かすヒントすら全く見つからない。

IPOの短期における値動きは、相場迷宮そのものです。

相場迷宮への幽閉

何かに取りつかれた目をして、モニターの前に陣取り、一人ぶつぶつと独り言を言う。

相場の迷宮に幽閉された者の姿であります。

そうなる前に、相場とは距離を置く必要があります。

超高難度の値動きに取りつかれ、中毒となってはならないのであります。

値動きの謎は手を出すべきものではなく、要観察対象とするべきものなのであります。

すなわち、IPOラッシュの週間は、相場の観察および研究期間であります。

値動きの謎を微に入り細を穿って観察し、以降のトレードに生かす。

生かすって言ったって、謎のベールに包まれた値動きを、どう生かせばいいのよ?

その答えは、こうであります。

見てるだけ

わからないものは見てるだけ。

世の中の全ては、このようにしておくのが安全なのであります。

ついつい釣られて難解な値動きに手を出さない。

危うきには近寄らず。

スルーが最も安全であります。

ただし、しっかり観察をし、得るものがないか観察を続ける。

当方、このIPO週間は、値動きの記録を取る絶好の機会と位置付けております。

IPOはデータの宝庫やー、と。

すなわち、この期間は儲ける期間ではなく、その前提・準備期間なのであります。

チャートの画像を保存し、数値・データを記録する。

材料集めの期間。

実に単純明快であります。


さて、本日の結果は、ノートレ・ノーポジ。

昨夜急落した米国市場を受け、日本も雪崩かと思いきや。

意外に日本株は強かった。

いや、強すぎる。

だれもケガはしていないかのような。

円安効果がかなりデカい。

輸出企業はどこもかしこも増益のオンパレード。

過去最高益とか、どうなってるのよ。

ドル円145円は、かの90年代バブルの相場であります。

そりゃ、強いわな。

世界が弱く、日本が強い。

おっさんたちが皆買ってくる。

上がるかなと思えば米株に釣られて下げ、下がるかなと思えばジワジワ上げてくる。

当方の出る幕は当面なさそうに思えてきました。

バブルの素っ高値、またはどん底の下げ相場、それを待ちます。