寄り指値のメリット|寄り付きの執行条件とは

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寄り付き指値(寄り指値、寄指)を使っていますか?

人によっては忘れ去られた執行条件。

当方は毎日のように、この「寄指」のメリットをフル活用していた時期があります。

その手法が一定年数を経て、どんどん使えなくなって行った経緯をレポートします。

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お蔵入り手法の経緯

以前に使っていた当方の数少ないデイトレ手法。

その手法が使用に耐えなくなった経緯は、以下の通りであります。

寄り指し(寄指)メリット享受法

以下は、買いの寄り指し注文についての話です。

この手法は、そこそこの利益が出ていたものの、やめるまでの5年間、特に最終の2~3年でほぼ完全に使えないと判断するに至り、お蔵入りとなりました。

とは言っても、似たようなやり方で未だに稼いでいる方もいらっしゃるかも知れません。

トレードの「キモになる部分」は伏せたまま、私がかつて多用していた、寄り指し注文の手法であります。

寄り付き指値(寄指)注文とは

執行条件付注文

執行条件付注文には、寄指(よりさし)、引指(ひけさし)、不成(ふなり、指成(さしなり)とも言う)、引成(ひけなり)、寄成(よりなり)、IOC等があります。

寄指注文のメリット

寄指注文による買いは、指値価格以下で寄り付いた場合にのみ寄り付きで約定し、指値より高く寄り付いた場合には注文が約定しません。

このため、寄り付き限定、一定価格より下で買いを約定させたい場合に便利な仕組みです。

寄り付き直前に、推定約定価格の少し上に寄指の買い注文を出せばたいてい約定します。

指値価格より上で寄り付いてしまった場合には、寄指注文は「出来ず」となり、注文は自動的に消えます。

成り行き注文のように「間違えて高く」約定することはありません。

安い価格に寄指買いを複数出しておけば、寄り付き前に想定した価格より安く寄った銘柄だけを狙い撃ちで買うことが可能です。

寄指注文と通常の買い指値の違い

通常の指値買いの場合には、指値より上で寄り付いて買えなかった場合でも、すぐ株価が下がってきて約定する可能性があります。

結果、欲しくない株が買えてしまうと言う、困った状況も発生しかねません。

発注をそのまま放置していたら、買いたくなくても買えてしまうのです。

寄指注文は、寄り付き後に未約定の注文が残りません。

通常の指値と違い、未約定の場合に取り消す手間が省ける点がメリットです。

寄指手法のヤバすぎる方法

当方の寄指買い手法では、

  1. 多数の銘柄を
  2. 希望の価格以下で寄り付いた場合にのみ
  3. 資金枠いっぱいまで買う

場合に使っていました。

「ある条件を満たした」銘柄が寄り付き直後にすぐ上がると予想された場合、寄指を使って注文を出します。

その際、1銘柄だけに注文を出すと、その1銘柄の動向に勝敗が左右されることになります。

これを多数銘柄に細かく分散させれば、うまくトータルでプラスに持っていけるのではないか。

そう考えて、候補の銘柄群を寄り付き前までに抽出しておき、出来るだけ細かく分散して多数の銘柄を資金枠いっぱい(ほぼ信用全力)まで買うことがありました。

なお、当然ながら目いっぱいまで信用で玉を建てる行為は、非常に大きいリスクを伴いますので、安易に手を出してはいけません。

超危険!多数銘柄に同時の全力注文

寄り付きでまとめて多数の買い注文を出す時、例えば、使える資金が約100万円の場合、信用買いで概ね最大300万円程度(実際にはもう少し多く)までの約定が可能となります。

しかし、注文の全てを同時に「成り行き」で出したのでは、300万円分全ての買いを約定させることはできません。

なぜなら、成り行き買いの場合、当日のストップ高価格で指値注文を出す場合と同等の資金量が必要となるためです。

昨日終値の価格帯や、増担保の銘柄をどのくらい含むかにもよります。

300万円分の玉を全て成行で同時に約定させるには、口座に300万円くらい入っていたとしても、余力が不足してしまいます。

(その場合は発注段階で弾かれて、「資金が足りない」と言う意味の表示が出ます。)

このやり方は、信用ではなく、現物株のみでやった方が安全です。

ただし、買える銘柄数が少なくなりますので、分散効果が減ってしまいます。

結局、信用取引を使ったほうが、リスクは増えるものの、利便性が高いのです。

逆指値・自動損切りの雲行き

もちろん、候補の銘柄群を資金枠いっぱいまで買っておいて、全体が含み損になったらエライ目に合います。

この対策として、大急ぎで返済売りの注文を出します。

次々と。

キーボードとマウスを必死にカチャカチャやっていました。

このやり方で、2014~2015年途中くらいまではそこそこ勝てたと思います。

そのうち便利になり自動発注

そうしているうち、証券会社によっては自動での反対売買が設定できるようになりました。

このため、注文を出す前に返済のための準備設定をし、その後に買い注文を出すようになりました。

これで、買ったら即座に返済売りを出せるようになったのです。

その上、買ってから予想外に値下がりした場合には成り行きの損切り注文が自動的に出ます。

これは凄く便利になったと感じました。

なぜなら、このやり方を始めた当初は、多数の銘柄(10銘柄以上)を買ってから、返済売り注文までを全て手動で出していたからです。

20銘柄以上に注文を出す時など、実際うんうんと唸りながら、必死にやっていました。

誤発注の際など、悲鳴が出るのは当たり前。

分散メリットの特徴

この手法の特徴は、寄り付いてから先に上に株価が動けば利益が出ます。

ところが下に行くと、たくさん買い込んでいるだけにかなり雲行きが怪しくなります。

冷や汗を流しながら、「逝って来い」を耐えるか、損切りするかの二択に迫られます。

そのリスクを、多数の銘柄に分散することによって何とか乗り切っていました。

例えば、10銘柄に買いを入れれば、少なくとも6銘柄程度は先に上に行ってくれることが、そこそこの確率であります。

その時点で残りの銘柄を損切る場合、損失より利益が上回るのであれば、残る銘柄を躊躇なく、さっさと損切りします。

多数銘柄に分散できればできるほど、利益を残しつつ先に降りられるのであります。

このやり方は、手動でやる場合には寄り付きでないとできません。

場中では、手動で同時に複数銘柄に買いを出すのは難しい。

寄り付き前に先に買い注文を出すからこそ、多数の銘柄を同時に買える訳です。

このような分散型の手法は、先物やFXではやりにくいですので、株に特有のメリットと言えます。

寄付指値手法の雲行き

その後もしばらくは、寄り付きで「目いっぱいまで買って即反対売買」の手法を続けていました。

ところが、2016年末頃より危険性を感じ、手出しを控えるようになりました。

さらに2017年頃にその考えはさらに強まり、この手法からは一切、手を引かざるを得なくなりました。

手を引いた理由は、一つには「ガラ」が来るようになった、と言うことです。

(ガラとは、ナイアガラの滝を意味します。)

その上、候補銘柄が少なくなってきて、インする頻度も下がってきたことが挙げられます。

勝率下落の3年間

この手法は当初、買いから売りまで全てを手動でやっていたにも関わらず、勝率8割以上をキープしており、寄り付き直後は毎日のように参戦していました。

徐々に勝てなくなってきた、あるいはそう感じるようになったのは2015年頃です。

第1段階:2015年

まず、微妙に勝率が落ち始めました。

概ね8割弱。

とは言え8割近い数字。

資金枠いっぱいまで買う手法ですので、そこそこの利益が出ます。

この頃、まだ雲行きの変化には気づいていませんでした。

勝率を含むデータを記録していましたので、1年後に振り返ってから徐々に異変に気づき始めます。

年末にデータを見直すと、売買銘柄のうち、東証1部の銘柄だけが勝率が悪くなっていました。

東証1部については、概ね6割を超える位の勝率。

勝率が6割では、損切りを上手くしないと、トータルで損失になります。

不安になってきました。

第2段階:2016年

東証1部銘柄については、買った瞬間に大きく下げる銘柄が徐々に増えた印象。

買った瞬間に5%くらい下げてしまうことも度々。

上がりそうな銘柄を抽出したつもりがこの結果では、もう問題外。

買い候補から東証1部銘柄を除外しました。

新興株系の銘柄については、勝率8割がキープされており、当面そのまま行けそうだと思っていました。

しかし、2016年末に振り返ったところ、やはり勝率が下落傾向。

しかも、銘柄抽出時に条件が合致する銘柄数が減少。

つまり、インする機会が減って来ました。

試行回数が減り、勝率も微減傾向。

それでもそこそこ勝てていたので、気にせず継続していました。

しかし、秋頃には、雲行きがさらに怪しくなりました。

最終段階:2017年

ゴールデンウィークを過ぎた頃でしょうか。

やはり今までと違ってきていることに気づきました。

その手法で得られるトータルの利益が薄くなって来た、のみならず、時折発生する「ガラ」。

このやり方、もうダメなのではないか?

そんな懸念がにわかに強くなり始めました。

さらに、条件に合致する銘柄が減り、試行回数が減る傾向がさらに強まりました。

これは試行回数による分散効果が減ることに等しく、勝ちの安定度に影響します。

一発ガラで特売りを食らった場合の比重が大きくなる訳です。

追加の懸念:逆指しが刈られる

不思議なことにも気がつきました。

反対売買を先に出した場合と、出さないで様子を見る場合を比べているうち、先に出した場合に限って上手く行きません。

実験のため、極小ロットで試した場合でも、先に返済売りを出してしまうと損切りになることが多い印象。

コンピュータは極小ロットの玉でもたどることができます。

「アルゴ」を舐めてはいけないのではないか?

そのような疑念が走りました。

「アルゴ」によって逆指しの損切り予約が刈られる?

もちろん、単に思い込みの可能性もあります。

しかし、仮にその懸念が本当だとすると、全部手動でその都度、返済注文をやらないといけなくなるのではないか?

そんな考えにとらわれ始めました。

トレード成績下降のわけ

これらのトレード成績が下降した時期は、自動の返済システムや自動の損切り設定が普及してきた頃。

さらに日計り手数料無料の信用取引など、手数料がさらに安くなる流れが顕著でした。

その上、各証券会社の銘柄ランキング情報等も以前に比べ、拡充されて来ました。

不思議なことにこの手法では、発注を全て手動で出し、誤発注も織り交ぜつつ、ウンウン唸りながら返済売りを出していた時期が、一番調子が良かった訳です。

システムが便利になり、発注・返済売り作業が半自動化。

その途端、かえって雲行きが怪しくなったと言う、この皮肉は何なのか。

思い当たる節は、以下のようなものです。

便利さの普及→ガラ

結論から言いますと、同じことをやる人が増えたせいではないか?ということです。

作業がわずらわしく、手動で数十銘柄に、うめきながら発注・返済を出していた頃は、当方のようなことをわざわざやる人が少なかったと言うこと。

その後、

  • 手数料が無料もしくは非常に安くなり
  • いくらでも分散発注ができるようになり
  • 発注システムが便利になり
  • 銘柄選定用のランキングが充実し
  • 銘柄抽出から返済売りまでの手順がラクになった

ので、同じことを考えて実行に移す人が増えたのではないかと。

所詮、素人が思いつく程度の売買手法です。

手数料が無料であれば、どんなに多数の銘柄に分散して買いを入れようとも、手数料の負担は増えません。

その上で、ツールの充実度が増し、昔は証券ディーラーしか使えなかったような便利な機能を、初心者でも使えるようになった結果なのではないかと。

短期売買は悲しいかな、同じことをやる人が増えるとパイの奪い合いになり、勝てなくなります。

自動損切りが一斉に同時に発動されたら、「ガラ」が来ても不思議はないのであります。

皆で一つのパイを取り合い、皆で飛び降りたら奈落の底。

ナイアガラの滝壺へと吸い込まれると言う訳です。

それが当方の「思い当たる節」であります。

なお、寄り付き指値を使ったこのお蔵入り手法は、「ある一定の銘柄群のうち、一定条件を満たした銘柄」については、未だに一定の優位性がある可能性もあります。

当方にとってはもうお手上げ、降参状態と言うだけのお話に過ぎません。

さようなら、寄り付き手法よ。