資金を回転させる方法についてまとめました。
極めて多数回の取引を反復する回転売買、そして秒スキャの手法。
信用無限回転の時代以前、トレードは手数料問題がネックでした。
現在では手数料が引き下げられ、証券会社によっては信用取引手数料が無料の場合もあります。
機関銃のようなトレードも不可能ではありません。
足元をすくわれずに株を回転させる方法、その思いは当方の場合、以下のようなものであります。
ナノ秒取引
ミリの千分の一の、そのまた千分の一がナノ。
ナノとはつまり百万分の一を意味します。
ナノ秒取引と言えばアルゴ。
巨額の開発費用をもって作られたアルゴリズム取引、彼らが自動的に資金を回転させ、相場を財布にするシステム。
アルゴに知らずのうちに1円ずつ、場合によっては0.1円ずつ、資金を抜かれる。
これにどう対抗するか?
気合をもって臨む手動売買。
100万倍遅いトレードとは、このことです。
瞬間移動を逆手に取る
瞬時に買い板、売り板が移動するような場合、板読み不要のスキャルピングが可能な場合があります。
買い板・売り板の位置が瞬間移動。
そのような場合、手動のトレードでも勝ててしまいます。
しかし、悲しいかな花の命は短い。
手動3秒トレードのターン、これは長くは続きません。
たいていの場合、途中で上下のどちらかに大きく動くことが多いです。
大口が巨額の資金を投げるのか。
それともイナゴの群れが偶然同じ方向に動くのか。
原因は定かではありません。
その瞬間、大きくやられるのが常です。
スキャ回転でぬか喜び、次にドカンとやられ、爆損切り。
これがスキャのドカンです。
それがなければ、引けまで気楽に利益を積み増せることでしょう。
回転売買以前
このような回転売買は、以前は不可能でした。
信用無限回転以前の時代、資金は3倍までしか回せませんでした。
例えば、30万円の資金なら90万円分だけで終わり。
90万円分、デイで回転させたら、余力不足で取引不可。
そもそも、1990年代までは、口座に相当の資金(2000万円くらい)が入っていないと信用取引の取引はできない、と言うのが普通でした。
年月を経て、誰でもが信用取引が可能となり、1日当たり余力3倍の制限もなくなり、今では大引けまで信用取引を自在に繰り返せます。
トレードがうまければ、資金は雪だるま式。
下手だとその逆。
信用無限回転以前の時代に、スキャで億った人もいると聞きます。
ただし、これは実態不明。
手数料は今より高く、信用取引が無料の証券会社もありませんでした。
当時、少額資金からスキャだけで億るのは、ピンポイント全勝全力・複利全開でないと不可能に近かった、と言えます。
2つの類型
トレードには2つの類型があります。
コツコツドカン型、そしてドカンコツコツ型。
コツコツドカン型とは、小さな利益を集めては、ある日ドカンとやられる。
ドカンコツコツ型とは、大きな利益、すなわちドカン益を手にしつつ、コツコツと小さく損切りをする。
これら2種類のトレード類型において、どちらに軍配が上がるのでしょうか。
その答えは、ドカンコツコツ型です。
ドカンコツコツの優位性
コツコツドカン型よりドカンコツコツ型が優れています。
一撃でドカンと勝つ。
豆鉄砲とライフル銃の差です。
豆鉄砲は的に当てやすい。
しかし、それで飯が食えた試しはありません。
遊戯と狩猟の違いであります。
コツコツドカンをドカンコツコツに変換する。
獲物1匹の肉量があれば、ひと月は食料に困りません。
しかるに、一撃で大物をゲットする、これこそが飯を食いつなぐ要諦であります。
すなわち大物狙い。
コツコツドカンをドカンコツコツに変える。
これを当方の相場用語で、コツドカ反転法と呼びます。
コツドカ反転法
勝率に拘泥してはなりません。
勝率がどんなに高くとも、コツコツドカンを演じている限りは、大きく儲けることはできないのであります。
常にジリ貧、いつまで経っても投入資金は増えず、成果が上がりません。
相場を10年やって、いまだ日に何千円の利益、なんてことが良くあります。
これを相場のアリ地獄と呼びます。
では、勝率ではなく、何が必要なのか。
それは、利幅であります。
そして、利幅に対し、圧倒的に小さい損切り幅。
これが相場のアリ地獄から脱出する方法です。
にも関わらず、気づけばコツコツと小さな利幅を集め始めてしまう。
勤勉の精神。
コツコツ、コツコツ、せっせとやり始めてしまうのが相場の常であります。
そうではなくて、ドカンとぶっ飛ぶ大きな利幅。
これをどう確保するのか?
コツドカの分水嶺
はっきり言いましょう。
ドカンの具体的数値は、概ね3%であります。
投入資金に対し、概ね3%以上の利幅を確保すること。
これがドカンコツコツ手法が功を奏する分水嶺であります。
なぜ3%なのか。
それは、目立たず冴えない銘柄が1日に動く幅。
例えば東証プライムの主力大型株のうち、目立たない地味株。
これが1日に動く大体の幅。
感覚的なものではありますが、この数値が概ね3%。
すなわち、これらの地味株に資金を放置しておくと、1日でそのくらいは動いてしまう。
もちろん、こちとら利益確定を目指すものであります。
買いであれば3%上がってもらわにゃ困ります。
この3%を、当方の株用語で、ドカンコツコツのドカン幅。
あるいは、限界単位利益と呼びます。
ゼロサムゲーム
デイトレーダーにとって、あと一歩と言う感覚は危険。
もう少しのところでつまずく事が頻繁にあります。
あと一歩で転げ落ちるの図
実は、デイトレはゼロサムゲームと言うよりは、どちらかと言えばマイナスサム。
ゼロサムゲームとは
ゼロサムとは、ゼロ和と言う意味。
参加者全ての利益と損失を足すと、ゼロになっている場合。
マイナスサムなら、合計がマイナスです。
マイナスサム・バイアス
バイアスとは英語で偏りを意味し、統計用語としても使われます。
デイトレのマイナスサム
税金が高くなると、世の中の経済が停滞するのと同じ理屈。
トレードには常に手数料、金利、税金など、もろもろのマイナス方向へのバイアスがかかっています。
短期・中長期の比較
長期の投資なら配当もありますし、手数料も取引頻度から考えれば無視できるレベルですので、ほぼプラスサムと言えます。
あくまで全体の総和の話ですが。
経済の成長、企業の成長と言うプラス方向へのバイアスが長期投資にはあります。
しかし、デイトレにはそれがありません。
あと一歩に見えても、ある日大損をしてしまえば終了。
マイナスサムからの脱出法
頑張ればトントンで推移するところまではたどり着けるかも知れません。
しかし、それを継続していると、本当にもう少しと言う所で急落を食らう。
結果、トータルで大損。
この対処法の1つが一発ブレークの勝ちを織り交ぜる、と言う訳です。
微益を積み重ねるだけではトータルでギリギリ感が否めないのであるからして。
値幅をかっさらう
例えば、ストップ高張り付けになっている銘柄を上手く買えれば、翌日にギャップアップする可能性は結構あります。
場合によっては広い値幅を稼ぐことができます。
ストップ高張り付けでなくとも、急騰する銘柄に上手く乗ることができれば、数分間で3パーセントや5パーセントの利益が稼げるかも知れません。
限界単位利益率
地味株ですら、1日で3%は損する可能性がある。
であるのに、なぜそれを超える利益を出せないのか。
逆に言えば、これを超える利益を確保できていれば、次のトレードでやられる可能性は、比較的に低くなります。
もちろんその3%にとどまらず、さらに大きく利幅を狙って行くべきであります。
一日で20%上がる株もあるのであるからして。
限界単位利益の突破を目指して。
一撃利益奪取法の解
どのようにすれば、この限界単位利益、3%を突破できるのか。
その答えの一つは、スイングぶち上げ手法であります。
スイングトレードによる爆勝ち。
にも関わらず、なぜ秒スキャをやりたくなるのでしょうか。
そして、いつの間にかやらやられている。
なぜなのでしょうか?
コツコツの条件
スキャルピングとは、概ね1度のトレードで0.1~0.2%程度の利益を削り取る手法。
これを続けるためには、2つの条件が必要となります。
- 高い勝率
- 小さい損切り幅
です。
勝率は最低でも9割以上なければなりません。
コツコツ利益を集める前提ならば、その程度は必要となります。
それ以下である場合には、スキャではかなり苦しい。
まあ無理ですわな。
ドカンとやられてコツコツ取り返すなど、愚の骨頂と言わざるを得ません。
コツドカの蟻地獄を避けるためには、損切り幅を利幅より小さく取る必要があります。
すなわち、スキャに至っては、0.2%以下の損切り幅。
あなたはそれを常時達成できる自信がありますか?
みずから率先して利幅を小さくし、そのおかげで高度な損切りを求められざるを得ない。
これがスキャルピングです。
トレードの目標
はっきり言いましょう。
トレードの究極的な目標は、利幅をどれだけ大きく取れるかです。
そして、追加条件として、損切りの幅を狭くすること。
この2条件がトレードの要諦。
スキャルピングとは、この前者の条件をみずから反故にする行為でもあります。
すなわち、条件が2つしかないのに、その1つ目をみずから崩しに行く。
コツコツ、安定性をうたっておきながら、実は危うい手法、そう言って差し支えありません。
時間は味方につかない
将来、値が戻るとしても、すぐカットして次の銘柄に行く。
秒スキャならそうに違いありません。
この場合、時間を味方につけることはできません。
回数を味方につけるトレードです。
時間的効率を上げるために、コスパを上げるために、手早く降りる。
時間をかけてじっと持っていたら、スキャになる筈もなし。
値動き依存
値動きがない銘柄で利益を出そうとするほど、効率の悪いことはありません。
じーっと値が上がるのを待ってなければならなくなります。
延々モニターとにらめっこするのは超短期売買とは程遠い。
むしろそのニラメッコのつら構え、長期投資です。
本当の長期投資の人は普段、モニターなど見ていませんが。
結局、超短期売買では値動きが大きい銘柄にインすることになります。
値動きが大きければ大きいほど、時間的コスパに優れます。
そしてこの手法、致命的な欠点があります。
儲かる時は簡単に儲かる、しかし損する時も簡単に損できる、と言うことです。
危うい想定
誰だって利を伸ばして損を小さくしたい。
しかし、世の中そんなに甘くありません。
簡単にできるなら、誰でもお金持ちになれます。
スキャルパーなのに目標株価まで上がるのをジーッと待っているなんてこと、あるでしょうか。
ありません。
従って、必然的に利が狭くなります。
利を狭くした時点で、損切り幅が大きくなるに等しい。
いつも利幅を狭く取るので、相対的に損失幅が広がっている勘定になるのです。
スキャを選んだ時点で、相対的・自動的に損失幅が増える、そんな手法。
誤発注
短時間で矢継ぎ早に発注。
するとどうでしょう。
誤発注は起こりやすくなります。
チャンスは平均的に分散し、広がりを持って存在しているのではありません。
どこかに偏在して固まって落ちていることが多いのです。
そうでなかったら、ビル・ゲイツのような突出したお金持ちの人が出て来るわけもありません。
チャンスの近くにいて、そのことに早く気づいて、しかもそれをつかみ取ることができた人が上手く行きます。
トレードも同じです。
にもかかわらず、常にいつでも同じようなトレードをし、慌てれば慌てるほどに誤発注。
誤発注の理由は他にもあります。
不揃いのワンショット金額
値がさ株と低位株において、同額の発注をするためには発注株数が全く違ってきます。
1万円の株価の銘柄の最小単位は100株、ワンショット100万円。
100円の株価の場合は100株で1万円。
ワンショット100万円と1万円では利確も損切りも桁違いの差になります。
ですから、低位株の株数を増やしてワンショットを100万円に揃える。
そんなデイトレーダーは多いでしょう。
小額でスキャるためには低位専門のトレードをする必要があります。
しかし、値動きの良い、売買高の集まっている銘柄は値がさ株であることのほうが多いです。
IPO株も多くは値がさ株。
低位専門になると、チャンスに目をつぶる機会が圧倒的に増えます。
従って結局のところ、値がさ株にも手を出さざるを得ない、そんなデイトレーダーがほとんどでしょう。
株数を間違える誤発注、その原因がこれです。
スキャのルール
値動きなんてものは、盛り上がった株なら秒。
それ以上持ったら負けです。
スキャルピングなら速攻降りる。
でなければスキャではありません。
ですよね?
持ち時間をついつい延長してしまう。
そんなものは手前都合の、思いつきトレードに過ぎません。
最初に決めたことを守ることの重要性。
3秒と決めたのなら、言い訳など通用しないのであります。
ルール遵守。
短期売買において大事なコンセプトであります。
ルールの前提
最初のルールとは、自分の・自分による・自分のための設定であります。
他人と約束するわけではありません。
これが問題を発生させます。
自分との契約においては、違反をしても誰にも咎められません。
だからこそルールは簡単に破られます。
そもそも、最初のルールは何であったのか。
スキャルピングであります。
インしたら、すぐ決済する。
すぐとは、どのくらいか?
理想を言えば、3秒以内であります。
3秒でないなら、3分。
それ以上はありえません。
では、3分待ってもどうにもならなかったらどうなるのでしょうか。
3分間の理由
3分後の決済は、時に自らを傷つけることになります。
肉を切らせて骨を断つ。
これが相場で利益を得るためのコンセプトです。
自分が受ける痛手を進んで受け入れつつも、最終的にそれを上まわる利益を得る。
スキャルピングとはそういうもの。
にも関わらず、なぜ3分以上持ってしまうのか。
理由など、何とでもつけられるのです。
みずからのルールを破る人は、言い訳のプロに過ぎません。
言い訳さえ考え出せば、ルールなどあって無きがごとし。
なぜ、こんなことになるのでしょうか。
ルール破りの理由
痛みを受け入れられない。
自ら課したルールを破る理由、その代表格は痛みであります。
痛みを気持ち良いと感じてしまう特異体質の人、彼は別として、通常、苦痛には耐えられません。
たとえ小さな痛みであっても、です。
これが何かとルールを破ってしまう理由。
すなわち、きわめて健全な生体制御機構。
本能がルールを破らせます。
では、どうすればルールを破らず、痛みを押して、適切な決済を可能たらしめるのか。
その答えは、非情なまでの理性であります。
理性こそが痛みを切り離すことができ、ルールを貫徹たらしめる条件であります。
理性の方法
理性でトレードをする方法。
感情ではなく、理詰めでトレードをする。
理屈のみにより行動する、それは、実は人間技ではありません。
機械のなせる技です。
すなわち、機械になる必要があるのであります。
これこそがルールを完全に貫徹する方法であります。
トレードのためのロボットとなり、感情を排斥し、機械となり、目の光を失うに至る。
このとき初めて、3秒で降り、決済を仕切ることができます。
しかし、スキャルピング、そんなに優れた手法には思えません。
皆さんはいかがお考えですか?
さて、本日の結果はプラマイゼロ。
ノートレ・ノーポジで迎えた今朝。
局所的盛り上がりはあるものの、ヘタっている銘柄が多い。
これはただ米株についていくだけの、方向感のない相場です。
そろそろ終わりにしてほしい。
ガツンと上下に振れてほしい。
そうしたら、ガツンと玉を入れられることでしょう。
本日もやることなしで引け。
ノーポジ。